ヘルメットやベストに小型カメラや加速度センサーを取り付け、作業中の動きや姿勢をリアルタイムで記録・解析する。AIがそのデータから、転倒の兆候や不自然な動きを自動検知して、「今、この作業者は危険な状態にある」と判断したら、アラート(注意)を発信するというようなことが試されているそうです。
更には、作業中の位置情報も常に記録されているため、「誰がどこで、どのような作業をしているか」が明確になり、万が一にも事故が起きた際には迅速な救助・対応が可能になるそうです。
電波が届きづらい山間部でも活用できるように、オフライン環境で稼働する仕組みや、衛星通信を活用したシステム開発も進んでいます。
従来の作業される方は、監視されているように感じることでしょう。
片や、労働安全の観点から見ると、作業者の命を守るための見守り技術として機能するということです。しかも、モニターの作業者自身「自分の動きをAIが記録している」ということで、大半の方が、安心感や心理的な支えになると感じているようです。
しんどい中、孤独になりがちな林業の現場で、「誰かが見てくれている」「自分を守ってくれる技術がある」という環境が、安全と信頼を生んでいるのでしょう。
プラス この行動モニタリングは、ウェアラブルデバイスとの連携でさらに高いレベルで安全管理を実現するとされています。
たとえば、腕時計型のスマートデバイスや、ヘルメットに装着するセンサー付きユニットで、作業者の心拍、体温、発汗量、姿勢、振動、位置情報といったバイタルや動作データを常時記録することが可能で、さらにこれらのデータをAIが解析することによって、「熱中症の危険がある」「疲労が蓄積して判断力低下リスクがある」「作業が予定より遅れていて、集中力が切れている」等の、労働災害が発生する、又は、直結するリスクを事前に察知し、作業中に警告を出すことができるそうです。
そして、一定時間以上の連続作業を検知して、休憩を促したり、危険区域に入った際の振動アラートや、無反応状態が続いたら自動で通報するシステムもあるそうです。
これらは、個人単位でのデータ収集のみならず、チーム全体の安全管理にも応用すれば、「このチームは全体的に疲労がたまってきている」「この班は作業速度にばらつきがあり、事故リスクが高まってきている」といった、集団としての安全状態をリアルタイムで把握することも可能だそうです。
これによりどうなるか?
現場監督者が経験や勘ではなく、データに基づいた適切な指示や休憩タイミングなどの判断が可能になるということです。
作業者個人や作業班のモニタリングにとどまらず、このほかにも、過去の事故データ、地形情報、土壌の安定性、気象履歴、作業履歴などのデータを基にAIが解析したリスクマップにより「この区域は滑落のリスクがある」「この地点は落石が起きやすい」「この時期は風が強く吹く日が多い」というような情報が地図上に可視化されるというものもあるそうです。
たとえば、作業計画において、ある作業地の斜面で過去に転倒事故があったとすれば、AIがその斜度や地質、当時の天候等を基に。似た条件が揃う現場を抽出して、「この現場で似たような事故が起こる可能性がある」と判断したら、現場作業者にスマホやタブレット等のスマートデバイスで確認することができ、事前に危険区域を把握した状態で作業に臨むことができるようになるシステム開発が進んでいるそうです。
そのほかには、気象センサーとAIによるリアルタイムでの現場への作業中断や避難を通知するシステムや、不安全な行動を抑制するため、作業者が気づかないというリスクも最小限に抑えられるようなシステム
このような、AIによるリスクマッピングや警告システムは作業計画の立案とも併用され、現場作業において、今後は、見えない労働安全管理として重要な位置づけになってくると思います。
いずれにしても、ひと昔前は「自己責任」とされていた作業上のリスクが、今はAIの力によって共有される可視化されるリスクへと変わりつつあります。
行動モニタリング、ウェアラブルデバイス、リスクマップ、リアルタイム警告システム、こうした技術が、作業者一人ひとりに安全・安心を与える時代がくることでしょう。
ただし、現場作業者を含めて全体でデジタルリテラシーを高める必要がありますね。
年配の方は、今ご説明したようなことには抵抗があるでしょうし、若い方は受け入れられても、技術や知識が追い付いてないということが考えられます。
今後、注視していきたいと考えております。